中国の習近平国家主席が韓国のイ・ジェミョン大統領と北京で会談し、「手を携えて、第二次世界大戦の勝利の成果を守るべきだ」と呼びかけた。この発言は、台湾有事をめぐる日本の高市総理の国会答弁に対する中国の反発を背景に、韓国との連携強化を図る狙いがあるとみられている。
この首脳会談は、東アジアの地政学的構図が大きく変化していることを示す象徴的な出来事である。中国は歴史認識問題を外交カードとして活用し、日本に対する包囲網を形成しようとしている。韓国がどこまで中国の呼びかけに応じるかが、今後の地域情勢を左右する鍵となるだろう。
「第二次大戦の勝利の成果を守る」という表現には、現在の国際秩序に対する中国の解釈が色濃く反映されている。中国は戦後秩序の「守護者」を自任し、日本の安全保障政策の変化を修正主義的な動きとして批判する構図を作り出そうとしている。この歴史認識の政治利用は、単なる過去の問題ではなく、現在進行形の外交戦略なのである。
韓国にとって、この会談は難しい選択を迫られる場面でもある。経済的には中国との関係を重視せざるを得ない一方で、安全保障面では米国や日本との協力が不可欠である。歴史認識問題で中国と歩調を合わせることは、日韓関係の改善努力に水を差し、地域の安定を損なうリスクをはらんでいる。
日本にとっては、歴史問題が再び外交的圧力の道具として使われる現実を直視する必要がある。単に過去を謝罪するだけでなく、戦後日本の平和国家としての歩みや国際貢献を積極的に発信し、歴史認識の一方的な解釈に対抗する必要がある。同時に、韓国との対話を継続し、中国による分断工作に隙を与えないことが重要だ。
この会談から学ぶべきは、歴史問題が決して過去の問題ではなく、現代の国際政治における有力な武器であり続けているという現実である。東アジアの平和と安定のためには、各国が歴史を冷静に見つめ、未来志向の関係構築に努めることが求められる。感情的な対立ではなく、建設的な対話こそが地域の繁栄への道である。
今後、中国がどのような形で歴史カードを切ってくるか、韓国がどう対応するかを注視する必要がある。日本は孤立することなく、価値観を共有する国々との連携を深めながら、冷静かつ戦略的な外交を展開していくべきだろう。歴史認識問題を乗り越え、真の地域協力を実現する知恵が、今ほど求められている時代はない。