浜岡原発データ改ざん問題が問う、原子力安全審査の信頼性

2024年、中部電力が浜岡原発3・4号機の再稼働審査において、地震の揺れを評価するデータを意図的に選定し、想定される揺れを過小評価していた疑いが明らかになった。原子力規制委員会は審査を中断し、中部電力は第三者委員会を設置して調査を開始することを発表した。

この問題は、原子力安全審査の根幹を揺るがす重大な事案である。地震国日本において、原発の耐震性評価は最も重要な安全基準の一つであり、そのデータが恣意的に操作されていたとすれば、審査制度そのものへの信頼が失われかねない。福島第一原発事故以降、厳格化されたはずの安全審査体制に、なぜこのような不正が入り込む余地があったのか、徹底的な検証が求められる。

データの意図的な選定という行為は、科学的誠実性の欠如を示している。原子力事業者には、都合の良いデータだけを選ぶのではなく、最悪のシナリオを想定した保守的な評価が求められる。今回の問題は、経済性や再稼働のスケジュールを優先するあまり、安全性が軽視された可能性を示唆している。

原子力規制委員会の対応も問われている。審査過程でこうした不正を見抜けなかったことは、チェック体制の不備を露呈した。事業者が提出するデータの妥当性を独立して検証する仕組みの強化が急務である。規制当局には、事業者との緊張感ある関係を保ち、厳格な審査を貫く姿勢が求められる。

この問題から学ぶべきは、透明性と説明責任の重要性である。原子力のような高リスク技術においては、情報公開を徹底し、専門家や市民による監視を可能にする必要がある。密室での審査ではなく、オープンなプロセスこそが不正の抑止力となる。

エネルギー政策全体への影響も懸念される。原発再稼働を推進する国の方針のもと、事業者にプレッシャーがかかっていた可能性も指摘されている。安全性を犠牲にしてまで推進すべき政策はなく、エネルギー安全保障と安全文化の両立をどう図るかが問われている。

浜岡原発データ改ざん問題は、単なる一企業の不祥事ではなく、日本の原子力安全体制そのものを見直す契機としなければならない。徹底した原因究明と再発防止策の実施、そして何より安全最優先の組織文化の確立が、原子力の未来を左右する鍵となるだろう。

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