本物のシシャモが消える日〜北海道の宝が直面する絶滅危機

2026年、北海道太平洋沿岸で獲れる本物のシシャモの漁獲量が過去最低水準を記録し、水産関係者の間で危機感が高まっている。一方、北欧では同種の魚が豊漁となっており、日本の漁業環境の深刻さが浮き彫りになっている。

居酒屋やスーパーで「シシャモ」として売られている魚の99%以上は、実はカラフトシシャモ(カペリン)という別種の代用魚だ。本物のシシャモは北海道の太平洋沿岸、特に鵡川や十勝地方にのみ生息する日本固有の魚である。かつては年間数千トンの漁獲があったが、現在は数十トンにまで激減している。

シシャモ激減の背景には、河川環境の悪化、海水温の上昇、乱獲などの複合的要因がある。シシャモは川で生まれ海で育ち、産卵のために再び川に戻る回遊魚で、河川工事やダム建設が産卵環境を破壊してきた。気候変動による海流の変化も、稚魚の生存率を低下させている。

対照的に、北欧のノルウェーやアイスランド周辺では、カラフトシシャモが安定して豊漁を続けている。これらの国々では漁獲量の厳格な管理と資源調査が徹底されており、持続可能な漁業が実現されている。日本の漁業管理との違いが、明暗を分ける結果となった。

北海道では地元漁協や研究機関が人工孵化や稚魚の放流、河川環境の改善などの保護活動を続けている。しかし資金や人手の不足、気候変動の加速により、効果は限定的だ。このままでは10年以内に本物のシシャモが商業的に消滅する可能性も指摘されている。

シシャモの危機は、日本の水産資源管理全体の問題を象徴している。ウナギ、クロマグロ、サンマなど、多くの魚種が同様の危機に直面しており、科学的根拠に基づく漁獲制限や環境保全が急務となっている。北欧諸国の成功例に学び、資源管理の抜本的改革が求められる。

本物のシシャモは単なる食材ではなく、北海道の文化と生態系の一部である。この小さな魚の運命は、私たち人間が自然とどう向き合うかを問いかけている。今行動を起こさなければ、次世代は本物のシシャモを味わうことも、その存在を知ることもできなくなるだろう。

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