新START失効で核軍縮の時代に終止符―再び始まる軍拡競争

2026年2月5日、米ロ間の最後の核軍縮条約である「新START」が失効した。これにより、世界の核弾頭の約90%を保有する両国間に、核兵器を制限する条約が一切存在しない状態となり、冷戦終結以来初めての事態を迎えている。

新STARTは2010年に締結され、米ロ両国の戦略核弾頭を各1,550発、運搬手段を各700基に制限してきた。この条約は相互査察を通じて透明性を確保し、核戦争のリスクを低減する重要な役割を果たしてきた。失効により、両国は核兵器の増強を自由に行える状況となり、国際的な核軍縮の枠組みが崩壊の危機に瀕している。

トランプ大統領は中国を含む三国間の新たな軍縮枠組みを主張しているが、中国は米ロと比べて核戦力が小規模であることを理由に参加に消極的である。交渉の具体的な進展は見られず、むしろ各国が核戦力の近代化を加速させる動きが顕著になっている。この膠着状態は、多国間軍縮交渉の困難さを如実に示している。

核軍縮条約の失効は、核不拡散体制全体への悪影響も懸念される。NPT(核不拡散条約)は核保有国に軍縮交渉の誠実な追求を義務付けているが、米ロの姿勢はこれに逆行するものだ。非核保有国からの不信感が高まり、核兵器禁止条約への支持拡大や、新たな核保有国の出現を招く可能性もある。

歴史を振り返れば、冷戦期には核軍拡競争が両陣営に莫大な経済負担をもたらし、人類を核戦争の瀬戸際に追い込んだ。その教訓から生まれた軍縮の枠組みが失われることは、単に軍事バランスの問題ではなく、人類の安全保障に関わる重大な後退である。核兵器の使用リスクは、保有数が増えるほど高まることを忘れてはならない。

この状況から学ぶべきは、軍縮体制の維持がいかに困難で脆弱かという点である。国際条約は信頼醸成と継続的な対話なくしては維持できず、一度崩れた枠組みを再構築するには何倍もの努力を要する。市民社会も核軍縮の重要性を理解し、政府に対して交渉再開を求める声を上げ続ける必要がある。

新STARTの失効は終わりではなく、新たな軍縮体制構築への出発点とすべきである。米ロ中三国に加え、他の核保有国も含めた包括的な対話の枠組みを早急に確立することが求められる。人類の未来のために、核兵器のない世界への道を再び切り開く努力を、国際社会全体で続けなければならない。

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