春闘2026、賃上げの勢いは続くのか——中小企業の「疲労」と物価の板挟み

2026年の春闘が27日に事実上スタートした。米関税措置による業績懸念や中小企業の「賃上げ疲れ」が指摘される中、物価上昇を上回る賃上げの勢いを継続できるかが焦点となっている。

ここ数年、日本経済は長いデフレからの脱却を目指し、賃上げを重要な政策課題としてきた。2023年から2025年にかけて、春闘では30年ぶりの高水準の賃上げが実現し、労働市場に明るい兆しが見えていた。しかし、物価上昇が続く中で実質賃金の目減りは依然として課題であり、労働者の生活実感は必ずしも改善していない。

特に中小企業にとって、連続的な賃上げは経営体力を削る重荷となりつつある。大企業は収益力を背景に賃上げ余力があるが、中小企業は原材料費や光熱費の高騰に苦しみながら人件費増にも対応しなければならない。この「賃上げ疲れ」は、企業の持続可能性そのものを脅かしかねない深刻な問題だ。

さらに、米国の関税措置という外部要因が不透明感を増している。輸出関連企業を中心に業績見通しが慎重になれば、賃上げ姿勢も後退する可能性がある。グローバル経済の変動が、国内の賃金交渉にも直接的な影響を及ぼす時代になったことを改めて実感させられる。

それでも、物価上昇が続く以上、実質賃金を維持・向上させる賃上げは不可欠だ。労働者の購買力が低下すれば、内需は縮小し、経済全体の成長も鈍化する。賃上げは単なる労使交渉の結果ではなく、経済の好循環を生み出すための重要なエンジンなのである。

この春闘では、労使双方が短期的な損得を超えて、中長期的な経済の持続可能性を見据えた対話が求められる。政府も中小企業支援や価格転嫁の環境整備など、賃上げを後押しする政策を強化する必要がある。社会全体で「賃上げを支える仕組み」をどう構築するかが問われている。

春闘2026は、日本経済が本当に賃金主導の成長軌道に乗れるかを試す試金石となるだろう。労働者、企業、政府それぞれが果たすべき役割を理解し、協働することでしか、持続的な賃上げと経済成長の両立は実現できない。今年の春闘の行方を、私たちは注意深く見守る必要がある。