著名エコノミストが「ドル覇権の衰退」を予言し、新NISAで圧倒的人気を誇る「オルカン(オール・カントリー)」や「S&P500」への過度な依存に警鐘を鳴らしている。株価指数の構造的な歪みも指摘され、「オルカンを買っておけば安心」という投資家の常識が揺らぎ始めている。
オルカンは全世界株式に分散投資できる商品だが、実際には時価総額加重平均により米国株が約60%を占める。つまり「全世界」と言いながら、実質的には米国経済の動向に大きく左右される構造になっている。ドル覇権が揺らげば、この米国集中がリスク要因に転じる可能性がある。
さらに株価指数には構造的な問題も存在する。時価総額が大きい銘柄ほど指数への影響力が増すため、一部のハイテク企業に資金が集中しやすい。この「勝者総取り」の構造が、バブル的な値動きを生み出すリスクを内包している。
新NISAの長期投資という性質上、今後20〜30年の世界経済の変化を見据える必要がある。米中対立の激化、新興国の台頭、気候変動対策による産業構造の転換など、現在の米国優位が続く保証はどこにもない。
真の国際分散投資とは、単に「全世界株式」を買うことではない。地域別、セクター別、時価総額別など、多角的な視点でポートフォリオを構築することが求められる。新興国株式や欧州株式、小型株ファンドなども組み合わせることで、特定地域への依存度を下げられる。
また、株式だけでなく債券、コモディティ、REITなど異なる資産クラスへの分散も重要だ。インフレ環境下では株式と債券が同時に下落することもあり、金や実物資産への投資も検討に値する。為替リスクのヘッジも、ドル依存を減らす有効な手段となる。
「オルカンを買っておけば安心」という神話に頼るのではなく、自分自身で投資の本質を学び、変化する世界経済に対応できる知識を身につけることが大切だ。新NISAという制度を活かすためにも、今こそ真の分散投資について深く考える時期に来ている。