アイヌ遺骨問題が問う大学の責任—150年の沈黙と尊厳回復への道

最近、研究目的で大学が収集したアイヌ民族の遺骨について、謝罪のないまま150年を迎えようとしている問題が報道され、注目を集めている。アイヌと琉球の連帯により「遺骨はふるさとで眠る権利」を求める声が高まり、学生らも大学の暗部への批判を強めている。

この問題の背景には、明治以降の同化政策と人類学研究の名の下に行われた、先住民族の墓地からの無断収集がある。北海道大学をはじめとする複数の大学が、アイヌ民族の遺骨を研究資料として保管してきた。しかし、遺族への説明や同意、そして謝罪は長年なされてこなかった。

遺骨返還問題は、単なる過去の清算ではなく、現在進行形の人権問題である。故人の尊厳と遺族の心情を無視した研究倫理の欠如は、学問の自由という名の下に正当化されてきた。この構造的な問題は、先住民族の権利が軽視されてきた日本社会の縮図とも言える。

2019年には「アイヌ施策推進法」が施行され、アイヌ民族が先住民族として法的に位置づけられた。しかし、遺骨返還は進まず、多くの遺骨が慰霊施設に集約保管されている状況だ。遺族たちは「ふるさとで眠らせたい」という切実な願いを訴え続けている。

注目すべきは、アイヌと琉球民族との連帯の動きである。琉球民族も同様に、大学に収集された遺骨の返還を求めてきた。両民族の協力は、日本における先住民族の権利回復運動に新たな力を与えている。

若い世代、特に大学生たちの批判的な声も重要な変化である。自らが学ぶ大学の暗い歴史に向き合い、制度的な差別構造を問い直す動きは、真の和解への第一歩となる。学問の倫理と社会的責任を再考する機会でもある。

この問題から学ぶべきは、研究倫理の重要性と、多数派が少数派の尊厳を侵害してきた歴史への自覚である。真摯な謝罪と遺骨返還、そして先住民族の権利尊重は、成熟した社会の証しとなる。150年の沈黙を破り、対話と和解の道を歩むことが今求められている。

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