南鳥島沖レアアース採掘試験開始―資源自給への挑戦
📅 2026年1月12日(月) 16時01分
✏️ 編集部
🏷️ 南鳥島沖レアアース採掘試験
JAMSTECの探査船が南鳥島沖でレアアース泥の採掘試験のため出航し、日本のEEZ内での本格的な海底資源開発が始まりました。この試験は、ハイテク産業に不可欠なレアアースの安定確保に向けた重要な一歩となります。
レアアースはスマートフォン、電気自動車、風力発電機などの製造に欠かせない資源ですが、現在その供給の大半を中国に依存しています。地政学的リスクを考えると、資源の安定確保は日本の産業競争力と安全保障に直結する課題です。南鳥島沖の海底には、世界需要の数百年分に相当するレアアースが眠っているとされています。
海底資源開発には多くの技術的課題があります。水深5000メートル以上の深海から泥を効率的に採取し、船上まで運搬する技術は世界でも確立されていません。さらに環境への影響を最小限に抑えながら、商業的に採算が取れる方法を開発する必要があります。
この採掘試験では、海底の泥をポンプで吸い上げる方式が採用されています。深海の高圧環境下で機器を正常に動作させ、泥水を効率的に輸送するパイプシステムの実証が主な目的です。試験で得られたデータは、将来の商業化に向けた貴重な基礎資料となります。
資源開発には環境保全とのバランスが重要です。深海生態系は未解明な部分が多く、採掘による影響を慎重に評価する必要があります。JAMSTECは環境モニタリングを同時に実施し、生物多様性への影響を最小化する技術開発にも取り組んでいます。
日本が海底資源開発で先行できれば、技術輸出による経済効果も期待できます。世界中の海底には未利用の鉱物資源が広がっており、日本の技術が国際標準となる可能性があります。資源小国から資源技術大国への転換が、この試験から始まろうとしています。
南鳥島沖の採掘試験は、日本の未来を左右するプロジェクトです。技術革新、環境保全、経済安全保障のすべてが交差するこの取り組みは、私たちに資源とどう向き合うべきかを問いかけています。海底に眠る可能性を現実のものとするため、長期的な視点での支援と理解が求められます。