最近、医療関係者の間で若年層における舌がんの増加傾向が報告され、注目を集めています。従来、舌がんは高齢者に多い疾患とされてきましたが、20代から40代の若い世代での発症例が増えており、その原因として歯並びの悪さによる慢性的な刺激が指摘されています。
舌がんは口腔がんの中でも最も発生頻度が高く、従来は喫煙や飲酒が主なリスク要因とされてきました。しかし近年の研究では、これらの習慣がない若年層でも発症するケースが増えており、新たなリスク要因の解明が急務となっています。予防医学の観点からも、この現象は重要な警鐘となっています。
歯並びの悪さがなぜ舌がんのリスクを高めるのでしょうか。歯が舌に常に当たる状態が続くと、その部分に慢性的な刺激や小さな傷が繰り返し生じます。この慢性炎症が長期間続くことで、細胞の異常増殖を引き起こし、がん化につながる可能性が指摘されています。
特に八重歯や内側に傾いた歯、尖った歯の詰め物などが舌に接触しやすい状態は要注意です。舌の同じ場所に口内炎が繰り返しできる、舌の縁に白い部分や赤い斑点がある、といった症状がある場合は早めに歯科医や口腔外科を受診することが推奨されます。自覚症状があるうちに対処することが重要です。
予防策としては、まず歯科矯正による歯並びの改善が効果的です。成人の矯正治療も一般化しており、審美面だけでなく健康面でのメリットも大きいことが認識されつつあります。また、定期的な歯科検診で舌の状態もチェックしてもらうことで、早期発見・早期治療につながります。
口腔内の健康は全身の健康と密接に関係しており、歯並びもその重要な要素の一つです。特に若い世代は「がんはまだ先の話」と考えがちですが、予防は早いに越したことはありません。日々の口腔ケアと定期的なチェックが、将来の大きなリスクを回避することにつながります。
この問題は、美容や機能面だけでなく、がん予防という生命に関わる視点からも歯並びの重要性を再認識させるものです。自分の口腔内の状態を把握し、気になる点があれば専門家に相談する習慣をつけることが、健康長寿への第一歩となるでしょう。予防医学の観点から、若いうちからの口腔ケアへの意識向上が求められています。