2035年には18歳人口が96万人まで減少し、私立大学の5割が定員割れする見込みだと報じられている。特に地方大学は厳しい状況に置かれ、1年間で約90校が消える可能性もあるという。
日本の大学数は約800校にのぼるが、その多くが戦後の高度成長期から1990年代にかけて設立された。しかし少子化が加速する中、これまでと同じ経営モデルでは立ち行かなくなっている。特に地方では若者の都市部流出も重なり、二重の打撃を受けている。
定員割れに苦しむ大学が取るべき戦略は多岐にわたる。地域企業との連携を深めて実践的な教育を提供する大学、オンライン教育を活用して全国から学生を集める大学、特定分野に特化した「尖った」教育で差別化を図る大学など、それぞれが独自の生き残り策を模索している。
一方で、大学の淘汰は必ずしも悪いことではないという指摘もある。質の低い教育機関が整理され、限られた資源が優良な大学に集中することで、日本の高等教育全体の質が向上する可能性もある。問題は、その過程で地域の教育機会が失われることだ。
地方大学は地域の知の拠点であり、人材育成の場でもある。大学がなくなれば若者は都市部へ流出し、地方の衰退がさらに加速する悪循環に陥る。そのため、単なる市場原理に任せるのではなく、地域と大学の共生モデルを構築する必要がある。
今後の大学には、従来の「18歳で入学し22歳で卒業する」モデルからの脱却も求められる。社会人のリカレント教育、留学生の積極的受け入れ、高齢者向けの生涯学習プログラムなど、多様な学習者を受け入れる柔軟性が生き残りの鍵となる。
大学淘汰の時代は、日本の高等教育の在り方を根本から問い直す機会でもある。各大学が自らの存在意義を明確にし、社会に真に必要とされる教育を提供できるかどうか。その答えが、これからの10年で明らかになるだろう。