日本経済新聞は2025年末、2010年以降に生まれた「α世代」が世界で20億人を超え、世界人口の24%を占めるまでに成長したと報じた。同紙は2026年1月から連載「α-20億人の未来」を開始し、デジタルネイティブを超える存在として経済・社会に大きな影響を与え始めるこの新世代を、データで読み解く大変革時代の主役として特集している。
α世代は全員が21世紀生まれで、生まれた瞬間からスマートフォンやタブレット、SNSに囲まれて育った真のデジタルネイティブである。Z世代がデジタル技術の普及期に成長したのに対し、α世代はそれが当たり前の環境で育ち、AIやメタバースなどの最新技術を自然に使いこなす。2025年時点では16歳以下だが、これから本格的に社会に出るにつれ、彼らの価値観や行動様式が世界を大きく変えていくことは確実だ。
この世代の特徴として「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視と体験価値の追求が挙げられる。情報過多の時代に生まれた彼らは、効率的に情報を得ることを重視し、動画の倍速再生やショート動画の消費が当たり前である。同時に、デジタルだけでなくリアルな体験や人とのつながりにも高い価値を見出し、物質的な所有よりも経験を重視する傾向が強い。
教育面では、α世代はChatGPTなどの生成AIを学習ツールとして活用する最初の世代となった。宿題や調べ物にAIを使うことに抵抗がなく、AIを「協働するパートナー」として捉える感覚が備わっている。この新しい学習スタイルは、従来の暗記中心の教育から、情報を活用し創造する能力を重視する教育へのシフトを促している。
消費行動においても、α世代は独自の特徴を示している。SNSでの情報収集を基本とし、インフルエンサーや友人の推薦を重視する一方、企業の広告には懐疑的である。ドン・キホーテなどの小売データによれば、α世代の中学生は「早く大人になりたい」という志向を持ち、高校生向け商品を好む傾向がある。彼らは自分らしさを表現することに積極的で、多様性を尊重する価値観を持つ。
企業や社会にとって、α世代への対応は喫緊の課題である。ファーストリテイリングの柳井正氏は「年寄りがつくった未来でいいのか」と問いかけ、若い世代に未来を委ねる重要性を説いた。史上最多の20億人という規模を持つα世代は、今後の消費市場、労働市場、政治の主役となり、彼らの価値観が社会のスタンダードになっていく。
α世代を理解することは、これからの10年、20年を見通すために不可欠である。デジタル技術とAIが日常に溶け込み、気候変動や人口動態の変化に直面する時代を生きる彼らは、私たちが想像する以上に柔軟で革新的な解決策を生み出す可能性を秘めている。彼らの視点から未来を考えることが、持続可能で豊かな社会を築く鍵となるだろう。