2025年12月31日、およそ50年にわたり続いてきたガソリン税の暫定税率が廃止されました。軽油引取税も2026年4月に廃止予定で、ドライバーの負担軽減が実現する一方、年間数兆円規模の税収減少にどう対応するかが喫緊の課題となっています。
ガソリン税の暫定税率は1974年の石油危機後に導入され、当初は道路整備の財源として位置づけられていました。本則税率に上乗せされる形で、1リットルあたり約25円が徴収されてきたのです。半世紀にわたり日本の道路インフラ整備を支えてきたこの制度が、ついに幕を閉じることになりました。
廃止の背景には、国民負担軽減を求める声の高まりと、ガソリン車から電気自動車への移行という時代の流れがあります。しかし、年間約2兆円とも言われる税収の穴をどう埋めるのか、具体的な代替財源は示されていません。道路や橋梁の老朽化が進む中、維持管理費用の確保は待ったなしの状況です。
この問題は単なる減税政策ではなく、日本の財政構造そのものを問い直す契機となっています。受益者負担の原則をどう考えるのか、インフラ維持に必要な財源をどう確保するのか、国民的な議論が求められています。短期的な負担軽減と長期的な財政健全性のバランスをどう取るかが問われているのです。
諸外国を見ると、ガソリン税収減少に対して走行距離課税や炭素税などで対応する事例が見られます。ドイツやオランダでは電気自動車の普及を見据えた新たな課税方式の検討が進んでいます。日本も持続可能な財源確保の仕組みを早急に構築する必要があるでしょう。
地方自治体への影響も深刻です。地方道路整備の財源として暫定税率の一部が配分されてきたため、廃止により地方の道路維持が困難になる可能性があります。都市と地方の格差がさらに広がる懸念もあり、地域間の公平性をどう保つかも重要な論点となっています。
今回の暫定税率廃止は、目先の負担軽減という果実の裏に、将来世代へのツケ回しというリスクを孕んでいます。私たち一人ひとりが、税の在り方と公共インフラの持続可能性について真剣に考える必要があるでしょう。民主主義社会において、負担と受益のバランスをどう設計するか、この問題は私たちに問いかけています。