2026年に入り、イラン情勢の緊迫化によってホルムズ海峡の通航が困難になる事態が発生している。原油の9割を中東に依存する日本は深刻な供給危機に直面し、政府は代替ルート確保を急いでいるものの、年明けまでの確保にとどまり、調達先の切り替えには量・日程ともに課題が山積している。
この事態は、1970年代のオイルショックを彷彿とさせる深刻さを持っている。当時、日本経済は石油価格の高騰により大きな打撃を受け、トイレットペーパー騒動など社会的混乱も発生した。半世紀が経過した今も、日本のエネルギー安全保障の脆弱性は根本的には解決されていないことが浮き彫りになっている。
中東への依存度9割という数字は、先進国の中でも突出して高い。欧米諸国が北海油田や北米のシェールオイルなど調達先を多様化してきた一方、日本は地理的・経済的理由から中東依存を続けてきた。ホルムズ海峡という単一の「チョークポイント」に日本経済の命運が握られている状況は、リスク管理の観点から極めて危険である。
政府は備蓄石油の活用や代替ルートの開拓を進めているが、短期的な対症療法に過ぎない。国家備蓄と民間備蓄を合わせて約240日分の石油を確保しているものの、供給が完全に途絶えれば産業活動への影響は避けられない。また、アフリカや南米からの調達増加には輸送コストや供給量の制約があり、即座に中東からの輸入を代替することは困難である。
この危機は、日本が長年先送りしてきたエネルギー政策の抜本的見直しを迫っている。再生可能エネルギーの拡大、原子力発電の位置づけ、水素社会への移行など、中長期的な脱炭素・脱中東依存の戦略が急務である。同時に、短期的には東南アジアや中央アジアとのエネルギー協力強化も重要な選択肢となる。
企業や家庭レベルでも、エネルギー効率の向上と省エネルギーの徹底が求められる。原油価格の高騰は電気代やガソリン代の上昇として家計を直撃し、製造業のコスト増加は製品価格に転嫁される。個人ができる対策としては、不要な電力消費の削減や公共交通機関の利用促進などが挙げられる。
令和のオイルショックは、日本がエネルギー安全保障の脆弱性と真剣に向き合う契機となるべきである。化石燃料への過度な依存からの脱却、調達先の多様化、そして持続可能なエネルギーシステムの構築に向けて、政府・企業・国民が一体となった取り組みが今こそ必要とされている。この危機を乗り越えた先に、より強靭で持続可能な日本のエネルギー未来が開けるはずである。