2026年に入り、国内のはしか感染者数が去年同時期と比較して4倍を超える水準に達していることが明らかになった。予防接種率の低下や海外からの持ち込み例の増加が背景にあるとみられ、保健当局は警戒を強めている。
はしかは「麻疹」とも呼ばれ、感染力が極めて強いウイルス性疾患である。空気感染するため、同じ空間にいるだけで感染するリスクがあり、免疫を持たない人が感染すると90%以上の確率で発症する。重症化すると肺炎や脳炎を引き起こし、特に乳幼児では命に関わる危険性が高い。
感染者急増の背景には、新型コロナウイルスパンデミックの影響が色濃く残っている。感染を恐れて医療機関への受診を控える傾向が続き、定期予防接種の機会を逃した子どもたちが増加した。厚生労働省のデータによれば、MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)の接種率は、パンデミック前の95%から90%前後まで低下している。
国際的な人の移動が再開されたことも、感染拡大の一因となっている。はしかはワクチン接種率が低い地域では今も流行が続いており、海外から持ち込まれるケースが相次いでいる。空港や観光地での感染例が報告されており、グローバル化した社会における感染症対策の難しさが浮き彫りになった。
ワクチンによる予防は、はしか対策の最も有効な手段である。2回の接種により、ほぼ100%に近い予防効果が得られることが科学的に証明されている。しかし、インターネット上の誤った情報に影響され、ワクチン接種をためらう親が一定数存在することも、接種率低下の要因として指摘されている。
集団免疫を維持するには、人口の95%以上がワクチン接種を受ける必要がある。この水準を下回ると、免疫を持たない人々の間で感染が広がり、ワクチンを接種できない乳児や免疫不全の患者が危険にさらされる。個人の選択が社会全体の健康に影響を与えるという認識が重要である。
今回の感染者急増は、予防接種の重要性を再認識する機会となった。自治体は未接種者への積極的な呼びかけを強化し、医療機関も接種機会の拡大に努めている。科学的根拠に基づいた正しい情報を共有し、一人ひとりが感染症予防に対する意識を高めることが、今求められている。