EBSA―英国発の新概念が示す「学校に行けない」子どもへの理解
📅 2026年1月25日(日) 16時01分
✏️ 編集部
🏷️ EBSA―学校に行けない子どもの新理解
英国で不登校児童生徒の増加が深刻化する中、「EBSA(Emotionally Based School Avoidance)」という新たな概念が教育現場で注目を集めている。従来の「不登校」という言葉では捉えきれない、感情的要因による登校回避を理解しようとする動きが広がっているのだ。
EBSAは「感情ベースの学校回避」と訳され、子どもが学校に行けない状態を、単なる怠けや問題行動ではなく、不安や恐怖などの感情的な困難として捉える。この視点は、子どもを責めるのではなく、何が登校を妨げているのかを理解し、適切な支援につなげることを重視している。日本の不登校支援にも大きな示唆を与える考え方だ。
日本では不登校児童生徒数が過去最多を更新し続けており、約30万人に達している。しかし「不登校」という言葉には、どこか否定的なニュアンスが付きまとい、当事者や家族を追い詰める側面があった。EBSAのように、子どもの内面に焦点を当てた理解の枠組みが求められている。
EBSAの概念が重要なのは、支援の出発点を変えるからだ。「なぜ学校に行かないのか」ではなく「何が学校に行くことを困難にしているのか」と問うことで、感覚過敏、対人不安、学習困難など、具体的な要因が見えてくる。この視点の転換が、効果的な支援策の立案を可能にする。
英国ではEBSAの理解に基づき、段階的な登校支援や学校環境の調整、代替教育の提供など、多様なアプローチが試みられている。一律の「学校復帰」を目指すのではなく、子ども一人ひとりの状況に応じた柔軟な支援が展開されているのだ。日本でもこうした個別化された支援の視点が必要とされている。
日本の教育現場でも、不登校を「心の問題」として捉え直す動きは徐々に広がっている。スクールカウンセラーの配置拡充や、別室登校、オンライン授業の活用など、多様な学びの場が模索されている。しかし、まだ「学校に戻すこと」が目標とされがちで、子どもの感情に寄り添う支援は十分とは言えない。
EBSAという概念は、不登校を新たな視点で理解する扉を開く。子どもが学校に行けないのは、その子の弱さではなく、環境と子どものミスマッチや、見えにくい困難のサインかもしれない。私たち大人に求められているのは、レッテルを貼ることではなく、一人ひとりの声に耳を傾け、安心して学べる環境を共に創ることなのだ。