アメリカウナギ国際取引規制撤回の波紋

2025年、日本の食卓に大きな影響を与えるニュースが飛び込んできた。かば焼きなどで親しまれるアメリカウナギについて、2026年1月7日から予定されていた国際取引規制が、提案国ドミニカ共和国の撤回により実施されないことが決定した。密輸や乱獲を防ぐための重要な措置が見送られたことで、ウナギ資源の未来に懸念が広がっている。

日本はウナギの世界最大の消費国であり、国内で流通するウナギの多くを輸入に頼っている。ニホンウナギが絶滅危惧種に指定される中、アメリカウナギは代替資源として注目されてきた。しかし、アメリカウナギも乱獲により個体数が減少しており、国際的な保護の必要性が指摘されていた。

今回の規制撤回の背景には、複雑な国際的利害関係が存在する。ウナギの取引は東アジア市場と密接に結びついており、規制による経済的影響への懸念が各国にある。ドミニカ共和国が撤回を決めた具体的な理由は明らかにされていないが、こうした経済的圧力が影響した可能性は否定できない。

この決定は、持続可能な水産資源管理の難しさを浮き彫りにしている。短期的な経済利益と長期的な資源保護のバランスをどう取るかは、国際社会が直面する普遍的な課題だ。規制が撤回されたことで、資源管理は各国の自主的な取り組みに委ねられることになり、実効性への疑問が残る。

日本の消費者にとって、この問題は他人事ではない。私たちが日常的に口にするウナギが、どのような経路で食卓に届き、その背景にどんな環境問題があるのかを知ることが重要だ。「食べられるうちに食べておこう」という短絡的な思考ではなく、将来世代のために資源を残す責任を意識する必要がある。

企業や流通業者にも大きな責任がある。トレーサビリティの確保や持続可能な調達方針の採用など、業界全体で自主的な規制を強化することが求められる。規制がないからといって無秩序な取引を続ければ、最終的には資源の枯渇という最悪の結果を招くだろう。

今回の規制撤回は終わりではなく、新たな議論の始まりと捉えるべきだ。国際的な枠組みが機能しない今こそ、消費国である日本が率先して持続可能なウナギ消費のモデルを示す好機である。一人ひとりの選択が未来を変える力を持っていることを、私たちは忘れてはならない。

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