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冤罪(えんざい)救済(きゅうさい)分水嶺(ぶんすいれい)再審(さいしん)制度(せいど)改革(かいかく)証拠(しょうこ)開示(かいじ)攻防(こうぼう)

法制(ほうせい)審議会(しんぎかい)部会(ぶかい)再審(さいしん)制度(せいど)見直(みなお)しを本格化(ほんかくか)させ、証拠(しょうこ)開示(かいじ)対象(たいしょう)を「再審(さいしん)請求(せいきゅう)理由(りゆう)関連(かんれん)する証拠(しょうこ)」とする(あん)(じく)検討(けんとう)(すす)めている。しかし日弁連(にちべんれん)はこの提案(ていあん)内容(ないよう)(つよ)反発(はんぱつ)し、冤罪(えんざい)被害者(ひがいしゃ)(しん)救済(きゅうさい)につながるかが()われている。

再審(さいしん)制度(せいど)は、確定(かくてい)判決(はんけつ)重大(じゅうだい)(あやま)りがあった場合(ばあい)裁判(さいばん)をやり(なお)す「最後(さいご)(とりで)」である。袴田(はかまだ)事件(じけん)東電(とうでん)OL殺人(さつじん)事件(じけん)など、DNA鑑定(かんてい)進歩(しんぽ)(しん)証拠(しょうこ)発見(はっけん)によって無実(むじつ)証明(しょうめい)されたケースは、この制度(せいど)重要性(じゅうようせい)物語(ものがた)っている。しかし現状(げんじょう)では、検察(けんさつ)保有(ほゆう)する証拠(しょうこ)開示(かいじ)限定的(げんていてき)で、冤罪(えんざい)被害者(ひがいしゃ)真実(しんじつ)証明(しょうめい)する機会(きかい)(うば)われているとの批判(ひはん)根強(ねづよ)い。

今回(こんかい)改革案(かいかくあん)焦点(しょうてん)は、どこまで証拠(しょうこ)開示(かいじ)義務化(ぎむか)するかという(てん)にある。「請求(せいきゅう)理由(りゆう)関連(かんれん)する証拠(しょうこ)」という基準(きじゅん)一見(いっけん)合理的(ごうりてき)()えるが、(なに)関連(かんれん)するかを判断(はんだん)するのは検察側(けんさつがわ)であり、恣意的(しいてき)運用(うんよう)余地(よち)(のこ)る。日弁連(にちべんれん)(もと)める「全面(ぜんめん)開示(かいじ)」との(へだ)たりは(おお)きく、冤罪(えんざい)被害者(ひがいしゃ)立場(たちば)()った制度(せいど)設計(せっけい)になっていないとの指摘(してき)がある。

諸外国(しょがいこく)比較(ひかく)すると、日本(にほん)再審(さいしん)制度(せいど)硬直性(こうちょくせい)際立(きわだ)っている。アメリカでは「イノセンス・プロジェクト」が活発(かっぱつ)活動(かつどう)し、DNA鑑定(かんてい)による無罪(むざい)判決(はんけつ)相次(あいつ)いでいる。イギリスでも独立(どくりつ)した刑事(けいじ)事件(じけん)再審(さいしん)委員会(いいんかい)設置(せっち)され、冤罪(えんざい)救済(きゅうさい)専門(せんもん)機関(きかん)機能(きのう)している。日本(にほん)でも制度(せいど)抜本的(ばっぽんてき)見直(みなお)しが(もと)められる所以(ゆえん)である。

証拠(しょうこ)開示(かいじ)拡大(かくだい)(たい)しては、捜査(そうさ)への支障(ししょう)関係者(かんけいしゃ)のプライバシー保護(ほご)理由(りゆう)とした慎重論(しんちょうろん)もある。しかし冤罪(えんざい)によって人生(じんせい)(うば)われた被害者(ひがいしゃ)(くる)しみを(かんが)えれば、真実(しんじつ)究明(きゅうめい)優先(ゆうせん)すべきではないか。適切(てきせつ)なバランスを(たも)ちつつ、無実(むじつ)(ひと)一人(ひとり)でも(おお)(すく)制度(せいど)設計(せっけい)(もと)められている。

再審(さいしん)制度(せいど)改革(かいかく)は、司法(しほう)信頼性(しんらいせい)そのものに(かか)わる問題(もんだい)である。誤判(ごはん)(ただ)仕組(しく)みが機能(きのう)しなければ、刑事(けいじ)司法(しほう)全体(ぜんたい)への国民(こくみん)信頼(しんらい)()らぐ。今回(こんかい)法制審(ほうせいしん)議論(ぎろん)が、形式的(けいしきてき)改革(かいかく)()わらず、(しん)冤罪(えんざい)被害者(ひがいしゃ)救済(きゅうさい)できる制度(せいど)へとつながることを期待(きたい)したい。

(わたし)たち市民(しみん)にとっても、この問題(もんだい)他人事(たにんごと)ではない。(だれ)もが冤罪(えんざい)被害者(ひがいしゃ)になりうる可能性(かのうせい)がある以上(いじょう)再審(さいしん)制度(せいど)()(かた)社会(しゃかい)全体(ぜんたい)(かんが)えるべき課題(かだい)である。法制審(ほうせいしん)動向(どうこう)注視(ちゅうし)しながら、冤罪(えんざい)をなくすために(なに)必要(ひつよう)かを(まな)(つづ)けることが重要(じゅうよう)だ。

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