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イタリア(さん)(なま)ハム輸入(ゆにゅう)停止(ていし)()う、日本(にほん)食料(しょくりょう)安全(あんぜん)保障(ほしょう)脆弱(ぜいじゃく)(せい)

アフリカ(ぶた)(ねつ)流行(りゅうこう)により、イタリア(さん)(なま)ハムの全面(ぜんめん)輸入(ゆにゅう)停止(ていし)という事態(じたい)発生(はっせい)した。高級(こうきゅう)食材(しょくざい)として日本(にほん)でも人気(にんき)(たか)いプロシュートが()(はい)らなくなるという事態(じたい)は、(しょく)(たの)しみという(てん)でも打撃(だげき)だが、より深刻(しんこく)なのは日本(にほん)食料(しょくりょう)安全(あんぜん)保障(ほしょう)脆弱(ぜいじゃく)(せい)(あらた)めて露呈(ろてい)したことである。

日本(にほん)食料(しょくりょう)自給(じきゅう)(りつ)はカロリーベースで(やく)38%と、主要(しゅよう)先進(せんしん)(こく)(なか)最低(さいてい)水準(すいじゅん)にある。(とく)畜産(ちくさん)(ぶつ)小麦(こむぎ)大豆(だいず)などは輸入(ゆにゅう)依存(いぞん)()(きわ)めて(たか)く、国際(こくさい)(てき)供給(きょうきゅう)(もう)混乱(こんらん)がそのまま国民(こくみん)食卓(しょくたく)影響(えいきょう)(およ)ぼす構造(こうぞう)となっている。今回(こんかい)(なま)ハム輸入(ゆにゅう)停止(ていし)は、動物(どうぶつ)疾病(しっぺい)というリスクが貿易(ぼうえき)一瞬(いっしゅん)停止(ていし)させうることを(しめ)した象徴(しょうちょう)(てき)事例(じれい)である。

自由(じゆう)貿易(ぼうえき)体制(たいせい)(たし)かに消費(しょうひ)(しゃ)多様(たよう)選択肢(せんたくし)(てい)価格(かかく)をもたらしてきた。しかし、パンデミックや気候(きこう)変動(へんどう)地政学(ちせいがく)(てき)緊張(きんちょう)など、グローバルサプライチェーンを()るがす要因(よういん)増大(ぞうだい)する現代(げんだい)において、過度(かど)輸入(ゆにゅう)依存(いぞん)国家(こっか)安全(あんぜん)保障(ほしょう)(じょう)重大(じゅうだい)なリスクとなる。食料(しょくりょう)石油(せきゆ)半導体(はんどうたい)同様(どうよう)、あるいはそれ以上(いじょう)に、国民(こくみん)生存(せいぞん)直結(ちょっけつ)する戦略(せんりゃく)物資(ぶっし)なのである。

国内(こくない)農業(のうぎょう)衰退(すいたい)は、後継(こうけい)(しゃ)不足(ふそく)耕作(こうさく)放棄(ほうき)()増加(ぞうか)という(かたち)深刻(しんこく)()している。農業(のうぎょう)従事(じゅうじ)(しゃ)平均(へいきん)年齢(ねんれい)は68(さい)()え、このままでは国内(こくない)生産(せいさん)基盤(きばん)そのものが消滅(しょうめつ)しかねない。一度(いちど)(うしな)われた農地(のうち)技術(ぎじゅつ)、コミュニティを再建(さいけん)するには膨大(ぼうだい)なコストと時間(じかん)がかかる。(いま)こそ、食料(しょくりょう)生産(せいさん)(たん)なる経済(けいざい)効率(こうりつ)問題(もんだい)ではなく、国家(こっか)存続(そんぞく)基盤(きばん)として位置(いち)づけ(なお)必要(ひつよう)がある。

食料(しょくりょう)安全(あんぜん)保障(ほしょう)強化(きょうか)には、国内(こくない)生産(せいさん)拡大(かくだい)だけでなく、多様(たよう)輸入(ゆにゅう)(さき)確保(かくほ)備蓄(びちく)充実(じゅうじつ)代替(だいたい)食料(しょくりょう)開発(かいはつ)など、多層(たそう)(てき)なアプローチが(もと)められる。スマート農業(のうぎょう)やバイオテクノロジーの活用(かつよう)により生産(せいさん)(せい)(たか)め、(わか)世代(せだい)参入(さんにゅう)しやすい環境(かんきょう)整備(せいび)することも重要(じゅうよう)だ。同時(どうじ)に、消費(しょうひ)(しゃ)も「(やす)ければよい」という価値(かち)(かん)見直(みなお)し、国産(こくさん)食材(しょくざい)(えら)意識(いしき)()つことが(もと)められる。

自由(じゆう)貿易(ぼうえき)恩恵(おんけい)享受(きょうじゅ)しつつも、その限界(げんかい)とリスクを直視(ちょくし)することが必要(ひつよう)である。グローバル()自給(じきゅう)(りょく)強化(きょうか)対立(たいりつ)概念(がいねん)ではなく、両者(りょうしゃ)のバランスをいかに()るかが政策(せいさく)要諦(ようてい)となる。イタリア(さん)(なま)ハムが()べられなくなることは些細(ささい)問題(もんだい)()えるかもしれないが、それは食料(しょくりょう)供給(きょうきゅう)脆弱(ぜいじゃく)(せい)という氷山(ひょうざん)一角(いっかく)()ぎない。

今回(こんかい)輸入(ゆにゅう)停止(ていし)一過(いっか)(せい)出来事(できごと)として(わす)れるのではなく、日本(にほん)食料(しょくりょう)政策(せいさく)根本(こんぽん)から見直(みなお)契機(けいき)とすべきである。美食(びしょく)(たの)しむ自由(じゆう)も、それを(ささ)える安定(あんてい)した食料(しょくりょう)供給(きょうきゅう)があってこそ()()つ。(わたし)たち一人(ひとり)ひとりが、毎日(まいにち)食卓(しょくたく)(つう)じて食料(しょくりょう)安全(あんぜん)保障(ほしょう)という国家(こっか)(てき)課題(かだい)()()時代(じだい)()ている。

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