この記事にはふりがなが付いています。日本語学習者向けです。

iPS細胞(さいぼう)移植(いしょく)から10(ねん)、がん()ゼロ—再生(さいせい)医療(いりょう)未来(みらい)(ひら)安全(あんぜん)(せい)実証(じっしょう)

神戸(こうべ)()理化学研究所(りかがくけんきゅうじょ)先端(せんたん)医療(いりょう)センター病院(びょういん)が、世界(せかい)(はつ)のiPS細胞(さいぼう)由来(ゆらい)網膜(もうまく)組織(そしき)移植(いしょく)臨床(りんしょう)研究(けんきゅう)について、移植(いしょく)から10(ねん)経過(けいか)した患者(かんじゃ)にがん()などの重篤(じゅうとく)問題(もんだい)一切(いっさい)発生(はっせい)しなかったと発表(はっぴょう)しました。この画期的(かっきてき)成果(せいか)は、iPS細胞(さいぼう)(もち)いた再生(さいせい)医療(いりょう)長期(ちょうき)安全(あんぜん)(せい)実証(じっしょう)する歴史(れきし)(てき)なマイルストーンとなります。

2014(ねん)実施(じっし)されたこの世界(せかい)(はつ)移植(いしょく)手術(しゅじゅつ)は、加齢(かれい)黄斑(おうはん)変性(へんせい)という()難病(なんびょう)(くる)しむ患者(かんじゃ)(たい)し、患者(かんじゃ)自身(じしん)細胞(さいぼう)から作製(さくせい)したiPS細胞(さいぼう)網膜(もうまく)組織(そしき)分化(ぶんか)させて移植(いしょく)するものでした。当時(とうじ)、iPS細胞(さいぼう)最大(さいだい)懸念(けねん)は、移植(いしょく)()腫瘍(しゅよう)()やがん()するリスクでしたが、10年間(ねんかん)追跡(ついせき)調査(ちょうさ)によってその安全(あんぜん)(せい)裏付(うらづ)けられたのです。

この長期(ちょうき)安全(あんぜん)(せい)データは、今後(こんご)のiPS細胞(さいぼう)治療(ちりょう)実用(じつよう)()()けて(きわ)めて重要(じゅうよう)意味(いみ)()ちます。パーキンソン(びょう)心不全(しんふぜん)脊髄(せきずい)損傷(そんしょう)など、現在(げんざい)進行(しんこう)(ちゅう)様々(さまざま)なiPS細胞(さいぼう)臨床(りんしょう)研究(けんきゅう)において、患者(かんじゃ)医療(いりょう)関係(かんけい)(しゃ)不安(ふあん)(おお)きく軽減(けいげん)する科学(かがく)(てき)根拠(こんきょ)となるでしょう。再生(さいせい)医療(いりょう)が「実験(じっけん)段階(だんかい)」から「実用(じつよう)医療(いりょう)」へと移行(いこう)する転換(てんかん)(てん)()えます。

山中(やまなか)伸弥(しんや)教授(きょうじゅ)が2006(ねん)にiPS細胞(さいぼう)開発(かいはつ)して以来(いらい)日本(にほん)再生(さいせい)医療(いりょう)研究(けんきゅう)最前線(さいぜんせん)(はし)(つづ)けてきました。今回(こんかい)の10年間(ねんかん)安全(あんぜん)(せい)実証(じっしょう)は、基礎(きそ)研究(けんきゅう)から臨床(りんしょう)応用(おうよう)まで一貫(いっかん)して()()んできた日本(にほん)研究(けんきゅう)体制(たいせい)成果(せいか)です。この蓄積(ちくせき)された知見(ちけん)とデータは、世界中(せかいじゅう)再生(さいせい)医療(いりょう)研究(けんきゅう)(しゃ)にとって貴重(きちょう)財産(ざいさん)となります。

しかし、今回(こんかい)成果(せいか)は「ゴール」ではなく「スタート地点(ちてん)」に()ったに()ぎません。iPS細胞(さいぼう)治療(ちりょう)(おお)くの患者(かんじゃ)(とど)けるためには、製造(せいぞう)コストの削減(さくげん)品質(ひんしつ)管理(かんり)標準(ひょうじゅん)()他家(たか)移植(いしょく)他人(たにん)細胞(さいぼう)由来(ゆらい)のiPS細胞(さいぼう)使用(しよう))の安全(あんぜん)(せい)検証(けんしょう)など、解決(かいけつ)すべき課題(かだい)山積(さんせき)しています。

(わたし)たち一般(いっぱん)市民(しみん)にとって、この成果(せいか)から(まな)ぶべきは「科学(かがく)(てき)検証(けんしょう)には時間(じかん)がかかる」という事実(じじつ)です。iPS細胞(さいぼう)発見(はっけん)から(やく)20(ねん)最初(さいしょ)移植(いしょく)から10(ねん)という(なが)年月(ねんげつ)をかけて、ようやく安全(あんぜん)(せい)実証(じっしょう)されました。医療(いりょう)イノベーションには忍耐(にんたい)(づよ)研究(けんきゅう)慎重(しんちょう)検証(けんしょう)不可欠(ふかけつ)であり、短期(たんき)(てき)成果(せいか)(いそ)ぐべきではないという教訓(きょうくん)()られます。

iPS細胞(さいぼう)移植(いしょく)10(ねん)安全(あんぜん)(せい)実証(じっしょう)は、難病(なんびょう)(くる)しむ患者(かんじゃ)たちに希望(きぼう)(ひかり)をもたらしました。今後(こんご)、この技術(ぎじゅつ)様々(さまざま)疾患(しっかん)治療(ちりょう)応用(おうよう)され、(おお)くの人々(ひとびと)生活(せいかつ)(しつ)向上(こうじょう)させる()()ることを期待(きたい)しつつ、科学(かがく)着実(ちゃくじつ)進歩(しんぽ)見守(みまも)(つづ)けたいと(おも)います。再生(さいせい)医療(いりょう)(しん)時代(じだい)が、確実(かくじつ)(まく)()けつつあるのです。

📚 おすすめの本

書籍数: 5
1
iPS細胞の未来 ベンチャー企業「クオリプス」の挑戦 : 再生医療革命 最先端医療の最前線
参考(さんこう)図書(としょ)白書(はくしょ)

iPS細胞(さいぼう)未来(みらい) ベンチャー企業(きぎょう)「クオリプス」の挑戦(ちょうせん) : 再生(さいせい)医療(いりょう)革命(かくめい) 最先端(さいせんたん)医療(いりょう)最前線(さいぜんせん)

あおうえい
⭐ 5
iPS細胞(さいぼう)研究(けんきゅう)全体(ぜんたい)(ぞう)一般(いっぱん)()けに()かりやすく解説(かいせつ)
2
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)
ノンフィクション

山中(やまなか)伸弥(しんや)先生(せんせい)に、人生(じんせい)とiPS細胞(さいぼう)について()いてみた (講談社(こうだんしゃ)+α文庫(ぶんこ))

山中(やまなか)伸弥(しんや)
⭐ 5
開発(かいはつ)(しゃ)自身(じしん)(かた)研究(けんきゅう)軌跡(きせき)再生(さいせい)医療(いりょう)未来(みらい)
3
改訂版 もっとよくわかる!幹細胞と再生医療 (実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ)
生物(せいぶつ)・バイオテクノロジー

改訂(かいてい)(ばん) もっとよくわかる!(かん)細胞(さいぼう)再生(さいせい)医療(いりょう) (実験(じっけん)医学(いがく)別冊(べっさつ) もっとよくわかる!シリーズ)

長船(おさふね)健二(けんじ)
⭐ 5
最新(さいしん)再生(さいせい)医療(いりょう)技術(ぎじゅつ)包括(ほうかつ)(てき)理解(りかい)できる専門(せんもん)(しょ)
4
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)
ノンフィクション

山中(やまなか)伸弥(しんや)先生(せんせい)に、人生(じんせい)とiPS細胞(さいぼう)について()いてみた (講談社(こうだんしゃ)+α文庫(ぶんこ))

山中(やまなか)伸弥(しんや)
⭐ 5
臨床(りんしょう)応用(おうよう)課題(かだい)可能(かのう)(せい)(ふか)()()げた(いっ)(さつ)
5
改訂版 もっとよくわかる!幹細胞と再生医療 (実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ)
生物(せいぶつ)・バイオテクノロジー

改訂(かいてい)(ばん) もっとよくわかる!(かん)細胞(さいぼう)再生(さいせい)医療(いりょう) (実験(じっけん)医学(いがく)別冊(べっさつ) もっとよくわかる!シリーズ)

長船(おさふね)健二(けんじ)
⭐ 5
実用(じつよう)()()けた技術(ぎじゅつ)(てき)制度(せいど)(てき)課題(かだい)(くわ)しく解説(かいせつ)